遠くで鳴る銃声。
彼が来たと告げるチャイムみたいね。
ふぅとはいたため息が、ふわりと風に乗った。
慣れてしまった非日常な音楽に軽く眉を寄せる。
こんなことに慣れるなんて、どうかしてるわ。
むすりと不機嫌顔になって校庭を見やる。
その瞬間、エメラルド色の瞳が見開かれる。
校庭では、こちらを見上げて怒鳴っている、彼。
手には細い彼の身体には不釣合いな程の大きな銃火器。
私を呼ぶなら、もっとマシな方法で呼んでよ!
顔がさっと赤くなる。
勢いよく立ち上がると、横にかけてあった鞄を掴みあげて
出来るだけ早く、走る。
走る、走る。
角を曲がればすぐだもの、一言言ってやらなきゃ!
意気込んだその先で、角を曲がる。
目の前には、銃火器。
「おっせーんだよこの糞糞マネが!!」
苛立ちを隠しもせず、むしろ隠そうともせず其れの先を向ける彼を見て、
思わずポカンと見上げてしまった。
その顔をしばらく不快そうに眺めて、彼は少し、楽しそうに口元を歪めた。
「そんなに堂々と見惚れないでくださいますか、アネザキサン?」
にやりと笑った彼を見て、カチンとして口を開けたら。
あの極悪最低の悪魔からは想像も出来ない
柔らかいそれが
なんだか可笑しくて
なんだか不思議で
なんだか嬉しかった。
「逃げてんじゃねーぞ。」
にやっと嫌な笑いを一つ残して
悪魔は早々と軽快にその角を曲がっていった。
赤くなった私の頬は、
少しだけ
ほんの、少し。
緩んでいた。
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付き合い始めた二人。
まだまだ素直じゃない二人が理想です。