テレビから流れるホイッスルの音。
青に赤いラインの入ったユニフォームを着た人たちが
雪崩がおきたかのように、黒いユニフォームを着た人たちの上に重なっていた。
暗い部屋で見るその光景は、なんだか変にしっくりときてしまう。
だけど多分、それは部屋が暗いからなどの簡単な理由ではない。
それはこの部屋が、
アメフトしか頭にない、悪魔のような男の部屋だから。
さっきから、定位置である黒い大きなソファーの上から微動だにしない彼は
じっと固まってソレを見つめている。
私はソレを見つめながらも、時折入る母からのメールを見たり、時計を見たり、そして彼を見たりと
落ち着きのない子供のように動いている。
そう思ったら、なんだか少し恥ずかしかった。
けれど、いっこうに気にした様子のない彼を見て、そんな考えもさっさと頭の中から退散してしまった。
もう少しで、深夜の衛星放送に変わる。
試合もそろそろ大詰めで、もう時間は20秒を切ったところ。
最後だと言わんばかりに、両者は激しくぶつかった。
それを見て、栗田くんや十文字くんたちが頭をよぎる。
頑張れ。
どちらに言うわけでもなく、ただひたすらに願った。
ああ、もう後5秒だわ。
どちらも一歩も譲らない。
頑張れ、頑張れ。
心の中でエコーがかかる。
ああ、もうすぐ、終止符を打つ笛の音が鳴る。
そう思い、胸の前で手を握る。
瞬間。
ぷつんという音がして、黒も青も、赤も緑も、全てが消えた。
本当に真っ暗になってしまった部屋を呆然と眺めてから、
はっとして振り返る。
「ちょ、ちょっとヒル魔くん!何で消しちゃったの?」
もう少しで勝敗が決まる一瞬だったのに、彼は、アメフトしか頭にない彼は
その決定を見ることなく放棄した。
彼にしては珍しい、いや、ありえないことだった。
目の前にいる金色の髪の男は、面白くなさそうにリモコンを放り投げる。
彼を見て、この部屋にも色があるのだと思い出した。
投げられたリモコンは、カツンと音をたてて地におさまっていく。
それの行方に目をやっている間に、彼の細い長い指が
私のうなじをつかんでいた。
驚いてその悪魔を見ると、にやりと楽しそうに笑う地獄の支配者が君臨していた。
捕まえられてしまった。
どうしよう。
逃げられない――――――・・。
どくどく波打つ鼓動だけが、この部屋の音楽になる。
悪魔は強引に、自分へと私の身体を引き寄せる。
今から生贄を喰らう悪魔の食事のシーンみたいと、場違いに冷静な自分が笑う。
その極悪な生物は、荒々しくくちづけしてから、言った。
「てめぇが祈るのは
デビルバッツのためだけでいい。」
そう笑う彼の瞳が、すごくすごく綺麗だったから。
無性に恥ずかしくなって、だけど嬉しくなってしまって。
熱くなる頬と同じように、あたたかくなった思いを感じて。
彼の冷たい手を握り締めた。
そうして次に降ってきたのが、甘い甘いくちづけだったから。
私はまた、単純に喜んで。
ゆっくりと瞳を閉じた。
長い間そうしていたから、なんだか頭がくらくらする。
けれどそれも幸せな眩暈だと感じている自分が、どうしようもなく恥ずかしい。
そっと恐る恐る目をあけて彼を見ると、
いつもの嫌な笑いを張り付かせて、声を上げて笑った。
なんともまぁ、ムードのない言葉と一緒に。
「ケケケ、てめぇそんなに呆けた顔してるってことは、
今夜は悪魔の生贄になるってことでいいんだな?」
自信に溢れた顔つきの悪魔と、その呪いのような言葉に
赤面しながら、断固お断り致しますと声を上げようとしたら
また甘いソレが降ってきたから
なんだかもう、どうでもよくなった。
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久々の更新です!
まもりちゃん視点では書きにくいのであんまり書かないのですが
やっぱり書きにくい・・・!笑
でも今回は恋人ですよ感が出せたので自分的に満足ですv
そのうち義務教育受けてる方以上対象とか書き出すかもしれない。笑
でもチキンなので結局出来ないと思われます。どうせチキン野郎ですから!ぇ